感染症科見習いの勉強記録

日々の学びを淡々とつづります。

R1.4.分離大腸菌のβ-ラクタム耐性機序として最も考えられるのはどれか。

 
R1.4.経直腸的前立腺生検後の発熱患者の血液培養から大腸菌が分離された。分離された大腸菌の薬剤感受性をディスク法で判定したところ、セフォタキシム、セフポドキシム、セフェピム、アズトレオナムに耐性で、セフメタゾール、メロペネムに感性であった。クラブラン酸を添加したセフポドキシムディスク周囲の阻止円径は非添加の場合と比較して有意に拡大していたが、EDTA、メルカプト化合物、ボロン酸は阻止円に影響していなかった。
分離大腸菌のβ-ラクタム耐性機序として最も考えられるのはどれか。
a 細胞壁合成酵素の変異
b 抗菌薬アセチル化酵素の産生
c メタロ-β-ラクタマーゼ産生
d クラスCβ-ラクタマーゼ産生
e 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生
 
正解 e
 
・ESBLの検出:CLSI(M100-S20)によるディスク拡散法および微量液体希釈法を用いる
・E.coli、K.pneumoniae、K.oxytocaおよびP.mirabilisが対象
・日常検査での薬剤感受性測定結果でスクリーニング可能:セフポドキシム(CPDX),セフタジジム(CAZ),アズトレオナム(AZT),セフォタキシム(CTX),セフトリアキソン(CTRX)のいずれかで耐性
・確認検査はCAZもしくはCTXにクラブラン酸を配合することによって阻害が強まることを確認する:ディスク法のものをダブルディスク法(DDST)と呼ぶ
・EDTA…メタロ-β-ラクタマーゼ検出(阻害)
・メルカプト化合物…メタロ-β-ラクタマーゼ検出(阻害)
・ボロン酸…クラスCβ-ラクタマーゼ(AmpC)検出(阻害)