感染症科見習いの勉強記録

日々の学びを淡々とつづります。

血液培養は1か所からでよい?

目的
血液培養(BC)の性能は、最適な採取方法に依存する。敗血症ガイドラインでは、どのような採取方法をすべきかは明記していないが、BCボトルを2セット用意し、各セットに好気性ボトルと嫌気性ボトルを1本ずつ入れることが推奨されている。シングルサイトサンプリング(SSS)プロトコルでは、4本のボトルすべてに対して1回の静脈穿刺のみが行われる。マルチサイトサンプリング(MSS)プロトコルでは,BCボトルは2つの別々の静脈穿刺部位から採取される。本研究の目的は、SSSとMSSを比較することであった。主要な結果は、採取したBCセットの数、サンプル量、診断性能である。


方法
本研究は、サンプリングプロトコルをMSSからSSSに変更する前後で、救急部におけるBCの結果を比較したレトロスペクティブな臨床研究である。すべてのBCサンプルは、BacT/ALERT BCシステムで培養された。


結果
SSS導入前の5,248例と導入後の5,364例を解析対象とした。SSSで採取されたBCの陽性率は、MSSに比べて有意に高く、それぞれ1,049/5,364(19.56%)、932/5,248(17.76%)であった(P=0.018)。この差は、MSSでは単独のBCセット(BCボトル2本)の割合が高かったことによるものである。推奨されている4本のBCボトルを持つ患者のみを分析したところ、陽性率に差はなかった。推奨されるサンプル量が8~12mlのBCボトルの割合は、SSSの方がMSSよりも高かった(P<0.001)。


結論
サンプリングプロトコルをMSSからSSSに変更したところ、陽性率が高く、サンプル量が多く、単独のBCセットが少なくなった。SSSのこれらの利点は、今後の敗血症ガイドラインで考慮されるべきである。

 

言われてみればそうかなとは思うものの,やはり発想がすごいと言わざるを得ない。コンタミの影響がどうなのかにもよるが、これは今後のプラクティスが変わりうるかもしれない。