AZTとAMK
たまに遭遇する,メロペンもゾシンも薬疹で使えませんの代替案検討
通常はキノロン(シプロ)+メトロニダゾールで事足りるが,キノロンもダメな場合
嫌気性菌カバーはメトロニダゾール(もしくはクリンダマイシン)でよいが,グラム陰性桿菌カバーをどうするか?
似た略称のAZT(アズトレオナム)とAMK(アミカシン)について整理
AZT(アズトレオナム)
- モノバクタム系のセフェム
- スペクトラムは緑膿菌を含むGNRのみ
- 髄膜炎でもOK(移行はよくないが炎症では移行する)
- ESBLには無効。AmpCにも不安定→割と耐性菌は多い
- 腎毒性はない
- ペニシリン系で「アレルギー」があっても使える。ただしセフタジジムとは側鎖が同じため避けたほうが良い
AMK(アミカシン)
- アミノグリコシド(複数の作用機序=セフェムより耐性がとられにくい)
- 敗血症・重症熱傷では分布用量増加により血中濃度上がりにくいので注意
- スペクトラムは緑膿菌を含むGNR(+ブ菌はある程度効く(単剤では使わない)が腸球菌には無効,抗酸菌,ノカルジアなどにも使う)
- GNR(緑膿菌)に対してはTOB(トブラマイシン)でもよい:TOBは吸入製剤がある
- 併用療法の利点はカバーが確実な点にあるとされるが,髄膜炎,肺炎,膿瘍への移行は不十分のため単剤は避ける,UTIは単剤でも可
- 1日1回投与がよいかも:高い最高血中濃度を得られる,腎・耳毒性が少ない可能性
- 腎障害のメカニズムは不明,非乏尿性で可逆的→腎障害があっても初期治療でためらう必要なし
- 耳毒性は非可逆的,発症タイミングは遅く治療後が多い
- アレルギー反応や静脈炎は少ない
まとめると,セフェムアレルギーかつキノロンも難しい場合,通常はAZTのみでよいが,カバーを広げたい場合はAMKを併用する,がよさそう。こういう比較をしてみると,キノロンのカバーの広さと強さを実感する
UpToDateのほか下の2冊を主に参照