感染症科見習いの勉強記録

日々の学びを淡々とつづります。

レンサ球菌のIEにおけるGM

緑色レンサ球菌によるIEの一部のレジメでGMの併用が勧められている。

UpToDateには,腸球菌と同様に,レンサ球菌でもGMの高度耐性を確認することが推奨されている。

β-ラクタムとアミノグリコシドの併用療法は、シナジー効果を得るために用いられる。この方法は、in vitroの研究、実験的心内膜炎モデルを用いたin vivoの研究、臨床シリーズ、および臨床経験に基づいている。しかし、併用療法がペニシリン単独療法よりも優れていることを示す研究はない。
併用療法を開始する前に、ゲンタマイシンの高度耐性の検査を行うべきである。ストレプトマイシンでは高度耐性はペニシリンとのシナジー効果を無効にすることから、ゲンタマイシンでも同様にシナジー効果が得られない可能性がある。viridans連鎖球菌やS.gallolyticusにおけるゲンタマイシン高度耐性の頻度は不明であるが、ストレプトマイシン高度耐性はごく一部で確認されている。
レンサ球菌のアミノグリコシド高度耐性をスクリーニングするための最適なアプローチは不明である。腸球菌のスクリーニング用に市販されているBrain-Heart Infusion(BHI)寒天培地プレートを使用してもよい。高濃度のアミノグリコシドにもかかわらずBHI上で細菌が増殖することは、高度耐性を示唆している。

https://www.uptodate.com/contents/antimicrobial-therapy-of-prosthetic-valve-endocarditis#H2019652553

そもそもGMグラム陰性菌が主要なターゲットでありグラム陽性菌は対象外(だが,ゲンタシン軟膏の存在がその原則を分かりにくくしているように思う)。CLSIにもレンサ球菌のGMの感受性については記載が一切ない(自然耐性とも書かれていないが)。そんなレンサ球菌に,方法が確立されていないGM高度耐性の検査をお願いしても,そもそも実施してもらえない可能性がある。GMの少なからぬ副作用を考えると,どうやらシナジーのメリットも大きくないようなので,わざわざ併用する意義は大きくないかもしれない。